「6.2mのカウンター」
美味しい料理やお酒を嗜む3人家族の施主が、住み慣れた築50年のマンション一室をリノベーションしたプロジェクト。施主のアイデンティティである「食」をヒントに、長いダイニングカウンターによる家族の新たなコミュニケーションのあり方を模索した。
曲面の左官壁がプライベートゾーンを区画しつつ、LDKを優しく包み空間の一体感をさりげなく演出している。料理等しながら家族の様子を感じられるキッチンを対面コの字型で中央に配置。それを取り巻くように6.2mのカウンターをリビングを横断するように設けた。面によって天板の奥行きを変え、利用シーンにあわせて場の選択が可能になっている。
接点を長く多く持つ新たなダイニングの設えは、生活のあらゆるシーンの器となり、家族でも一人でも、仲間や来客に対しても心地よく居着ける場を生んだ。施主家族固有の風景を住まいに落とし込んだ形式だが、家族での過ごし方やあり方自体が多様化してきた現代家族に寄り添う新たなLDKの設えとして、一つの解になると考えている。